音楽を「聴く」だけでなく、「視る」「読む」。
脳波誘導とデータ分析が溶け合うとき、詩と科学のあいだに新しい風景が立ち上がる──。
本書は、アルバム「The Dawn Of Truth」とともに歩む、“データ詩学”の旅の記録です。

2026年1月1日。Kindle本で発売!
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この半年間、私は音楽家として、そして分析者として、「未知の航海」に挑んでいました。人生で初めての「本」の執筆という大きな挑戦に全力で向き合い、その成果として2025年11月21日、最新アルバム「The Dawn Of Truth」をリリースしました。この作品は、単なる音楽ではなく、今回執筆した書籍と密接に連動する、データ駆動型の実験的プロジェクトでもあります。

脳波を操る音楽技術:搬送波とサイドチェインの融合が創る新しいグルーヴ

まずは、アルバムに込めた音響的な挑戦から。

楽曲の中心にあるのは、特定の脳波状態(集中力・リラックス)への誘導を目的とした実験的なサウンドデザインです。その鍵となるのが、異なる周波数が作り出す差周波、つまり「バイノーラルビートのうねり」を利用した搬送波(キャリアウェーブ)です。

今回の最大の実験は、この脳波誘導の「うねり」を、楽曲のリズムと同期させる手法にあります。クラブミュージックでグルーヴを生み出すサイドチェイン・コンプレッション(DJがよく使う「んドッ・んドッ」という呼吸するようなリズムをつくる技術)を応用。元々は放送技術に由来するこの手法を、搬送波そのものの揺れに適用するという、世界でも類を見ないアプローチに挑みました。

脳波誘導を促す波が、楽曲のリズムに合わせて脈動する」──この融合が、リスナーの聴覚に、そして脳に、どのような影響を与えるのか。そんな新しい聴覚体験の創出を目指しました。このアルバムは、単なるニューエイジの枠を超えたダウンテンポとして、全15曲にこの挑戦的な搬送波技術を組み込んでいます。

音楽の解剖学:Pythonコーディングで感覚を「数値」に変換する

そして今回の著書では、この実験的なアルバムの構造を、データサイエンスの視点から徹底的に分析しています。

出発点となった問いは一つ。

音楽を、もっと直感的に、そして論理的に理解できないだろうか?

従来の音楽理論や音感は、習得に時間が必要です。しかし、「音をデータとして捉え、可視化し、定量的に理解する」アプローチがあれば、音楽の奥深さへの扉は、より多くの人に開かれます。

また、私自身の複合的な理論体系を「言語化」する葛藤を乗り越えるため、「ならば、データとグラフで構造そのものを見せてしまおう」と考えました。

本書では、楽曲から抽出した様々な要素を数値化し、分析しています。

  • 音色・テクスチャの統計的特徴量(MFCCなど): アルバムが持つ音響的個性を、統計的に浮かび上がらせる。

以上、周波数からテクスチャまで多角的に分析した89次元の特徴量を、更に抽象度の高い10の指標へと集約しました。

分析の核心:スケーリングと感情円環モデル

そして、この10指標に基づき、データサイエンスで最も重要な前処理の一つである2種類のスケーリング(Quantile ScalerとRobust Scaler)で変換。その結果を、感情心理学の基盤であるラッセルの感情円環モデル  (Valence/Arousal平面)にプロットしました。

さらに、全楽曲にわたり、異なるスケーリングが楽曲の個性をどのように変化させるかを、レーダーチャートと棒グラフで徹底的に比較しています。外れ値の影響を排除したロバストな側面と、分布を均一化したクォンタイルな側面から楽曲のプロファイルを多層的に可視化しました。

最終的に、このデータを用いた主成分分析(PCA)を行い、楽曲同士の関係性を明らかにするクラスタリングを実行。この「感覚の世界を論理と数値に変換し、その解釈の揺らぎまでをも可視化する」試みこそが、本書の最大の価値です。

一見複雑に見えるこの分析は、すべて図とグラフで可視化。プログラミングや統計学の知識がなくても、感覚が数値に変わる瞬間の美しさと論理的な構造を、目で見て理解できます。

目で見て理解する「新しい音楽の教科書」へ

今回の著書は、「聴く」だけでなく、「見る」「読む」ことで音楽の内部構造を理解するための、新しい教科書を目指しました。

音楽制作の裏側で何が起きているのか。脳波誘導搬送波はどのように楽曲の流れを支配しているのか。そして作品に隠された意図とは。

音楽理論に馴染みがない人でも、データを通じて音楽の奥行きを楽しめる内容です。データサイエンスの視点から音楽を分解し、再構築することで、「数値の中に潜む、構造の美しさ」を描き出せたなら幸いです。

音楽を聴き、見て、読み解く──。
この新しい旅路を、最新アルバム「The Dawn Of Truth」とともに歩んでいただけませんか?