音は、記憶の器であり、感情の設計図でもある。
科学と詩が交差する場所で、私は音楽を紡いでいる。
-これは、その記録。

こんにちは。今日は、私の新しい取り組みについて、少し専門的なお話をさせていただきます。

音楽とは「感情を動かす力」そのものです。
では -その感情を、科学的に“設計”できるとしたら?

【音の奥に潜む波─脳波誘導搬送波とは】

11月21日にリリース予定の私のニューアルバム「The Dawn Of Truth」。このアルバムでは、全楽曲にわたって「脳波誘導搬送波(Carrier Wave)」という特殊な音響技術を導入しています。これは、リスナーの脳波に特定の周波数の揺らぎを与えることで、聴覚を超えて、情動の深層へと響くことを目的とした技術です。

先月からずっと、この搬送波が人間の感情にどのような影響を与えているのか、データサイエンスの手法を用いて徹底的に検証していました。(実際の膨大な計算はPythonが担ってくれたので助かりました…!)

【データが裏付ける感情コントロール】

私が知りたかったのは、この特殊な音響信号が、人間の感情の主要な2軸、Valence(快・不快の度合い)とArousal(覚醒度・興奮度)に対して、どれだけ意図通りに機能しているか、という点です。
そして、その結論は、驚くべきものでした。

あくまで楽曲設計の「理論値」ではありますが、Valence・Arousalの両軸に対して、私が音楽で意図した感情のコントロールが、ほぼ100%の精度で効いているという結果が得られました。

具体的なデータとしては以下の通りです。ここでいうGRとは、音量の揺らぎや残響の深さといった、楽曲の特定の音響特徴量を指します。

Valence(快・不快)予測モデル(GR + BeatFrequency複合モデル)

このモデルは、感情の「快・不快」の変動を予測します。 R²スコア: 1.0 (モデル上では、理論的にほぼ完全な一致を示す結果となりました。)

画像
図1 音量の揺れ・搬送波周波数から予測する楽曲の快・不快

回帰係数:-0.5000
要素:CarrierWave_Gamma
意味(概要):ガンマ波誘導成分が快感を大きく抑制する。すなわち、音楽的には“緊張感や集中状態”をもたらす要素です。

回帰係数:-0.3000
要素:CarrierWave_Theta
意味(概要):シータ波誘導成分が快感を大きく抑制する。これは瞑想的・内省的な情動に深く関係します。

回帰係数:-0.0200
要素:Mean_GR_Depth (dB)
意味(概要):平均的な音響特徴の深さ

Arousal(覚醒度)予測モデル(GR特徴量モデル)

このモデルは、感情の「覚醒度」の変動を予測します。 R²スコア: 0.999 (モデル上では、理論的にほぼ完全な一致を示す結果となりました。)

画像
図2 音量の揺れから予測する楽曲の覚醒度

回帰係数:19.3696
要素:Std_GR (dB)
意味(概要):音響特徴の変動幅が大きいほど覚醒度が高まる

回帰係数:1.6151
要素:Mean_GR_Depth (dB)
意味(概要):平均的な音響特徴の深さ

回帰係数:-0.0171
要素:GR_Dynamic_Range (dB)
意味(概要):音響特徴のダイナミックレンジ

この結果は、特定の脳波誘導搬送波(Gamma/Theta)を導入することで、音楽の快・不快の方向性を数値的に制御できることを示唆しています。

【データ詩学としての作品】

これらの検証を含め、この数週間は文字通りデータと音に没頭していました。前提となる計算式や理論は非常に膨大で、とてもnoteの記事には収まりきりません。

実は、以前から「本でも書きなよ」と周囲に勧められていたのですが、このアルバム制作を経て、まさか私の第1弾の著作が、「データ詩学(Data Poetics)」とも呼べるような、自作の音響とデータサイエンスが融合した作品になるとは、自分自身でも予想外でした。現在、この理論をまとめた書籍を執筆中です。

苦しい局面も続きましたが、これはまるで卒業論文のような(文字数は圧倒的に多いですが)、これまでの人生の前半戦への答辞のような作品になっています。

「The Dawn Of Truth」は、私の音楽家としての情熱と、データサイエンスへの探求心が融合した、魂の記録です。ぜひご期待ください。…正直、この数週間で人生の計算リソースの半分くらい使い切った気がします。-気合い、入ってます。