2026年4月22日、新刊を出版します

2026年4月22日水曜日。
新刊『Gravity Pulse – Designing Consciousness Through Sound』をKindleにて出版します。

いつも通る公園の桜は、柔らかな春風とともに静かに過ぎていきました。

10代の頃、二徹も厭わずシンセサイザーのノブを回し続けていたあの日から32年。
音楽家として、そして近年はデータサイエンティストとして音と向き合ってきた時間は、ひとつの節目を迎えています。

本書は、その軌跡の延長線上にある一冊です。


なぜ今、この本を書いたのか

従来の音楽理論は、「音符」や「楽譜」を前提に組み立てられてきました。

しかし実際の音楽体験は、それだけでは説明しきれません。

同じメロディ。
同じコード進行。

それでも、聴き終えたあとの「意識状態」は大きく変化する。

この差異はどこから生まれるのか。

本書はその問いに対して、音楽を知覚現象として再定義するところから始まります。


同じDNAから生まれた、2つの異なる体験

本書と連動する形で、2つの楽曲を公開しています。

この2曲は、メロディとコード進行が完全に同一です。
いわば「音符のDNA」を共有した存在です。

しかし、体験は明確に異なります。

  • Trance version は、意識を外側へと拡張させる「覚醒」へ
  • Lo-fi version は、内側へ沈降していく「内省」へ

同じ設計図から、なぜ異なる現実が立ち上がるのか。

その差を生むのは、音符の外側にある設計です。

たとえば、

  • 音の時間密度
  • 揺らぎ(ゆらぎ)の分布
  • 周波数構造と減衰特性
  • 情報量(エントロピー)の制御

これらが、知覚の方向性を決定づけます。


音楽を「状態空間」として捉える

本書では、音楽を時間軸上のイベントではなく、
状態空間上の軌跡として扱います。

そこでは、

  • エントロピー
  • 確率密度分布
  • ヒステリシス(履歴依存性)

といった概念が重要になります。

一見すると物理学的で難解に見えるかもしれません。
しかし本質はシンプルです。

「なぜ同じ音が、違う体験になるのか」

その問いを、定量的に扱おうとする試みです。


本書の内容について

『Gravity Pulse』は、いわゆる音楽理論書ではありません。

32年にわたる楽曲制作と分析の蓄積をもとに、

  • Tonnetzによる調和構造の可視化
  • エントロピーマップによる情報量解析
  • 確率モデルによる知覚変化の記述

といった手法を用いながら、音楽体験の構造を解き明かします。

それは「理論の提示」であると同時に、
音をどう聴くかという認識の再設計でもあります。


音を聴き、そして読み解くという体験

このプロジェクトは、楽曲と書籍を一体として設計しています。

  1. まず音を聴く
  2. 次に構造を理解する
  3. そしてもう一度聴く

この往復によって、音楽体験そのものが変化します。

それは単なる理解ではなく、
知覚のあり方そのものの更新に近いものです。


リリース情報

  • 2026年3月27日
     『Gravity Pulse (Trance version)』公開中
  • 2026年4月10日
     『Gravity Pulse (Lo-fi version)』公開中
  • 2026年4月22日
     書籍『Gravity Pulse – Designing Consciousness Through Sound』発売予定

関連リンク

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Gravity Pulse(リンクまとめ)


終わりに

音楽が終わったあと、
そこに残るのは「音」ではなく、変化した意識です。

その変化を設計すること。

それが、私にとっての音楽です。

この試みが、どこかの誰かの知覚に小さな変化をもたらすことを願っています。

Akihito Kimura(木村哲人)